HOME > 感染予防教室 > あの先生この先生の専門家コラム > 第13回: 『レジオネラについて』

感染予防教室

●あの先生この先生の専門家コラム

第13回: 『レジオネラについて』
茨城県立医療大学教授 小池 和子
■レジオネラ感染症
  • 【原因菌】
    1976年米国フィラデルフィアにおける在郷軍人会での集団発生に端を発する(在郷軍人病)本感染症は、Legionella pneumophila によることが多く、わが国でも1980年以降報告が見られています。1996年には、某大学病院の新生児病棟における感染事例に驚かされ、最近も温泉水の誤嚥、循環式浴槽などに因るものと思われる事例が報告されています。新感染症とされ、新しい感染症予防法では、現在4類感染症に指定されています。由来は水系、土壌と考えられ、20℃以上の、滞ったり循環したりする環境に生存するとされています。
  • 【病原性】
    レジオネラ菌の含んだ水のエアロゾル化したものを気道に吸入することが侵入経路で、暴露量、宿主の感受性、菌株の毒力が、発症の因子となります。インフルエンザ様症状を示すポンティアック熱としてのレジオネラ症と、重症型のレジオネラ肺炎が主です。軽いものから、劇症肺炎まであり、潜伏期は2〜10日、呼吸器症状が主で、消化器症状、精神神経症状もしばしば見られます。本症は、健常人にも肺炎を引き起こしますが、慢性疾患のある人、抗癌剤投与患者、エイズ患者等の感染防御能の低下した人は、感受性が高く、高齢者にも注意が必要です。
  • 【治療】
    マクロドライ系抗生物質が有効とされますが、他剤との併用もあり得ます。 ショック、治療中止によって再発する例等、呼吸管理をはじめとする種々の所見を注意深く見守りながら、適切な治療を行うことが望まれます。
  • 【感染症予防と拡大防止】
    レジオネラ感染症予防、レジオネラ菌汚染の拡大のために注意すべきこと
  • (1) レジオネラ菌汚染を防止し、レジオネラ感染症を予防するためには、特に、施設等における24時間連続循環入浴および、訪問入浴における家庭の24時間風呂に注意が必要です。同じ浴槽水を長期間連続で使用することは避け、浴槽水の交換に努めましょう。消毒効果が減弱し、レジオネラ菌の汚染が大になることを防止することが大切です。また、健常者についても同様ですが、循環式浴槽、ジャグジー等において、飛沫、エアロゾルを飲み込んだり吸い込んだりしないようにすることも肝要です。

    (2) ネブライザーや、呼吸管理機器などの消毒後のリンスや保存液は、滅菌水によることが勧められています。貯水槽を20℃以下に保つことや、残留塩素濃度を確保すること、病院や施設の場合、給湯懐炉を50℃以上に保持することや、65℃以上の熱殺菌消毒など今後の課題です。

    (3) 水系システムの調査によって感染源が判明したら除菌し、3ヶ月間は追跡調査を行います。なお、定期的な清掃、点検、細菌検査の実施が望まれます。

    (4) 予防対策は原則として標準予防策とされます。

■先生のプロフィール

小池 和子

茨城県立医療大学 医科学センター教授(同付属病院感染対策委員)

専門分野:感染制御学、細菌学(食中毒)、公衆衛生学

■学会活動
  • 日本公衆衛生学会評議委員・査読委員
  • 日本衛生学会評議委員
  • 日本疫学会評議委員
  • 日本細菌学会、日本環境感染学会、日本食品微生物学会、日本病院管理学会各会員感染対策関連の社会活動
  • 入浴福祉研究会理事
  • 茨城県保健・医療・福祉における健康・科学情報(感染症)の共有化モデル事業検討委員医学博士、ICD制度協議会認定ICD
小池 和子