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感染予防教室

●あの先生この先生の専門家コラム

第12回: 『肝炎について』
NTT西日本東海病院 外科部長 大久保 憲
■肝炎とは

肝臓への炎症性細胞浸潤を主病変とする疾患で、進行すれば肝細胞壊死を引き起こすこともあります。原因にはアルコール、各種薬剤、自己免疫性疾患などがありますが、注目されるものはウイルス性肝炎です。

■ウイルス性肝炎

A型からE型までの5種類のウイルスが知られています。この中でA型とE型は飲料水や食物により経口的に感染します。その他のウイルス肝炎は血液を媒介として輸血や注射、観血的処置により感染します。

■B型肝炎

成人の場合、感染後は無症状で経過する場合と、黄疸が出現する急性肝炎となるものがあります。約2〜3%の割合で重症な劇症肝炎となります。大部分は一過性で治癒しますが、持続感染状態となっても90〜95%は肝機能も正常化して無症候性キャリアとなります。残りの5%前後が慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進展していきます。

■C型肝炎

無症状で経過するものと急性肝炎型とがありますが、劇症化するものは稀です。しかし、症例の大部分は慢性肝炎すなわち持続感染へと移行しやすいです。その後しばらくは無症状で過ぎますが、約30年近く経過後に肝障害が出現すると慢性肝炎の状態となっており、さらに肝硬変、肝癌へと進行していく症例が散見されます。ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)が上昇する活動性肝炎は治療の対象となります。インターフェロン、ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン製剤が用いられます。

■感染予防

BおよびC型肝炎ウイルスは血液媒介感染ウイルスであり、感染防止は血液、体液への接触に注意すればよいことになります。日常生活上で接触する状況では感染しませんし、食器などを区別する必要もありません。ただし、生体に関係するすべての湿性物質(たとえば血液や体液、露出した創など)は感染性物質であると認識しなければなりません。触れる前の手袋の着用、接触後の手洗い、手袋を外した後の手洗い、針刺し切創事故の防止、血液飛沫がある場合のゴーグルおよびマスクの着用など、いわゆるスタンダードプリコーションといわれる概念を実施すれば感染は防止できます。

医療に携わる者は、予めB型肝炎ワクチンを接種しておくことが望まれます。また、針刺し事故を起こして感染の危険性が高い場合にはHBs抗体が高力価で含まれる免疫グロブリンを接種する必要があります。C型肝炎の場合にはワクチンもなく、インターフェロンの予防的投与も効果はなく、特別な予防法は確立されていません。いずれにしても血液に関係する行為は要注意です。

■先生のプロフィール
NTT西日本東海病院 外科部長 大久保 憲
昭和48年
関西医科大学卒業
昭和48年
名古屋市立大学医学部第一外科
昭和51年
同 細菌学教室にて研究
昭和55年
刈谷総合病院 外科部長
平成 7年〜
NTT西日本東海病院 外科部長
平成 7年〜
東京大学医学部 非常勤講師(感染制御学)
平成 7年〜
名古屋市立大学医学部 非常勤講師(細菌学)
平成14年〜
名古屋市立大学医学部 臨床教授(外科学)
大久保 憲