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感染予防教室

●あの先生この先生の専門家コラム

第8回: 『福祉用具の消毒』
北里大学 医療衛生学部 専任講師 秋山 茂

皆さんご承知の通り、介護保険法では、この法律に指定されている福祉用具については、貸与事業者からの貸与を受けることが出来ます。事業者から貸与される用具は、すべて的確な消毒作業を経ている清潔なものです。一口に消毒作業といっても、日頃の生活の中で何気なく行っているものから、病院内感染防止対策の一環として行われるものなど様々なケースがありますが、どのような場合でも消毒作業が感染を未然に防ぐための手段であることに違いがありません。福祉用具に関する消毒の基本姿勢は、感染を未然に防ぐ公衆衛生対策と考えてよいでしょう。


福祉用具の消毒には、「熱を使う」、「紫外線を使う」、「薬液(消毒薬)を使う」、「ガス状物質を使う」、「電解生成水やオゾン水を使う」等の方法がありますので、消毒作業もそれぞれの用具に適した方法を選ぶ必要があります。


「熱を使う方法」には、乾いた高温の空気を使う場合と沸騰水や水蒸気のような湿った熱を使う場合があります。高温の空気は、繊維やプラスチック、ゴム製品を劣化させることがありますが、スロープの様な金属製品は確実に消毒できます。沸騰水や蒸気で消毒した場合には、用具を十分に乾燥させる必要があります。 「紫外線を使う方法」は、光が当たっている表面だけしか消毒できませんのでマットレスの様な厚みのあるものや構造が複雑なものには使えませんし、作業者に紫外線が当たらない様にしなければなりません。また、プラスチックやゴムのなかには紫外線にって劣化するものがあります。


「薬液を使う方法」には、薬液に浸漬する方法と薬液をしみ込ませた布で拭く方法があります。消毒薬の種類が多く、それぞれに特徴がありますので用具の材質を痛めないものを選ぶことと、消毒後には消毒薬を洗い流すか水で拭き取っておく必要があります。


「ガス状物質を使う方法」は、ベッドの様な大型の福祉用具の消毒に適しており、貸与事業者が最も利用しやすい方法ですが、設備が大型化します。使われるガス状物質は、オゾンやホルムアルデヒドで、何れも装置を正常にしかも安全に稼働させなければなりませんので、専任のオペレーターが必要です。また、平成13年新しい殺菌システムとしてメタノールを特殊な触媒を使ってラジカル化したガス(MRガス)殺菌法が福祉用具の殺菌・消毒に導入されました。


「電解生成水やオゾン水を使う方法」は、どちらも専用の生成装置が必要です。電解生成水には、強酸性、弱酸性、弱アルカリ性の3種類があり、それぞれに特徴があります。共通した性質として、生成水を貯めておくと徐々に有効塩素量が減少し殺菌力が低下することと有機性の汚れによって効力が減弱することです。オゾン水も同じ様な性質があります。

■先生のプロフィール
秋山 茂

北里大学衛生学部卒

感染症学会、食品衛生学会に所属

防菌・防黴学会評議員


平成2年 塩化ベンザルコニウム製剤の微生物学的品質管理に関する研究で学位取得(学術博士)


現・北里大学医療衛生学部専任講師

滅菌・消毒などの微生物制御に関する領域で活躍


秋山 茂