感染症は、人類と微生物の戦いであり安易に考えてはいけない半永久的な非常に大きな問題である。 また感染症に罹るものはそれぞれの個人であり、決して統計学的な判断などにより簡単に片付けてはいけない問題でもある。
そのことから人命を脅かす感染症に対しては、医療では治療に重点をおいた取組みが盛んになされ、現在では日本は感染症治療では世界のトップクラスに君臨し、その恩恵は日本国民ならずとも世界が認める長寿国であることで証明されている。
しかしながら、ここで勘違いしてはならないことがある。 それは感染症治療と感染症予防とはスタンスが違うことを理解してほしいということである。 つまり、感染症治療は個人を対象としているが、感染症予防は全ての人々を対象としている点である。
私達の子供の頃は、外で遊び帰宅すると両親から『手を洗いなさい!』『うがいをしなさい!』などと口うるさく言われ、ごく自然に衛生観念が身についていたものである。 これは様々な病原微生物が引き起こす感染症治療が死因の上位を占めていた時代に、個々の認識でも感染症=死という恐怖心から回避可能な感染症は予防しようという国策としての公衆衛生教育推進のお陰であった。
ところが現在はどうであろうか? 感染症は医療の進歩と共に治療できるという概念がいつの間にか市民レベルに定着し、予防という非常に大切な概念が忘れ去られてしまった感は否めない。 それを反映してか子供に対してさえ口うるさく言う両親も見かけなくなり、むしろ『感染症は罹ってしまったら治療すれば良い』という考え方が、現在医療の発達と共に知らず知らずのうちに私達現在社会の中に根付いてしまった。
ここで忘れてはいけないのは、感染症を引き起こす微生物も生き物であり治療できない感染症も存在することである。 このことから考えても感染症は、医療が今後いかなる進歩を遂げても感染症対策の基本概念は昔から何ら変わることなく『治療』ではなく『予防』なのである。
いつの時代も回避可能な感染は、基本的な概念を遵守すれば予防できるということを今一度公衆衛生と共に教育していかなければならない。
