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感染予防教室

●知って得するさまざまな感染症

(6)鳥インフルエンザ Q&A

Q1
高病原性鳥インフルエンザとは、どのような病気ですか?
A
トリもA型インフルエンザウイルスの感染を受けますが、トリのウイルスはヒトのインフルエンザウイルスとは異なったウイルスです。鳥類のインフルエンザは「鳥インフルエンザ」と呼ばれ、このうち、ウイルスの感染を受けた鳥類が死亡し、全身症状などの特に強い病原性を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼びます。鶏、七面鳥、うずら等が感染すると、全身症状をおこし、神経症状(首曲がり、元気消失等)、呼吸器症状、消化器症状(下痢、食欲減退等)等が現れ、鳥類が大量に死亡することもまれではありません。
Q2
これまでにどのような国で発生していますか?
A
香港(H5N1型:1997年,2003年)、米国(H5N2型:1983年,2003年)、オランダ(H7N7型:2003年)、ドイツ(H7N7型:2003年)、韓国(H5N1型:2003年)、ベトナム(H5N1型:2004年)等、世界各地で発生しています。日本では、1925年以来発生はありませんでした。
Q3
これまでにヒトに感染した例はありますか?
A
1997年香港においてH5鳥インフルエンザに18名が感染、6名が死亡していますが、ヒトからヒトへの感染はありませんでした。2003年2月、同じく香港においてH5鳥インフルエンザウイルス感染が2名で確認され、うち1名は死亡していますが、その後の感染の拡大はありませんでした。2003年3-4月オランダではH7鳥インフルエンザウイルス流行の際に、防疫に従事したヒトを中心に数十人のヒトが結膜炎を、十数人がインフルエンザ様症状を呈しました。死亡した獣医師1名の肺からは鳥インフルエンザウイルスH7N7が分離されており、また、養鶏従事者の家族内で3人に結膜炎と軽い呼吸器症状がみられヒトからヒトへの感染が疑われた例もあります。
Q4
どのようにヒトに感染するのですか?
A
これまでのところ、香港などのように店頭での生きたニワトリの小売りが一般的な地域において発生した感染事例や、防疫業務に携わった人の感染事例など、まれにトリからヒトへの感染は見られた(数十例ほど)ものの、ヒトからヒトへの感染についてはオランダで疑われるとの報告がわずかにあるのみです(Q3参照)。またヒトが鳥インフルエンザウイルスの感染を受けるのは、病鳥と近距離で接触した場合、またはそれらの内臓や排泄物に接触するなどした場合が多く、鶏肉や鶏卵からの感染の報告はありません。
Q5
ヒトに感染した場合はどんな症状がでますか?
A
オランダの例(H7型)では結膜炎が主な症状でしたが、一部の感染者では呼吸器の症状も見られています。香港の例(H5型)では、発熱、咳などのヒトの一般的なインフルエンザと同様のものから多臓器不全に至る重症なものまで様々な症状がありました。死亡の主な原因は肺炎でした。 なお、「高病原性鳥インフルエンザ」という呼称についてですが、これはトリに対して特に病原性が高いインフルエンザの呼び方であり、ヒトに対する病原性から決められた呼び方ではありません。
Q6
ヒトではどのような予防方法がありますか?
A
鳥インフルエンザに対する有効なワクチンは、現在のところありません(研究、開発が行われています)。ヒトへの万が一の感染を避けるために、また付着したウイルスを他の地域のニワトリに拡げないためにも、鳥インフルエンザの流行が見られている鶏舎などへの出入りは、用事のない限り避けてください。用事があって鶏舎に出入りするときは、手袋、医療用マスク、ガウン、ゴーグルなどの着用、手洗いの励行などの、基本的な感染予防対策が必要です。 通常の生活の中で、現段階では鳥インフルエンザウイルスに関する特別な予防を行う必要はありません。
Q7
ペットでニワトリや小鳥を飼っていますが大丈夫ですか?
A
これまでの科学的知見によれば、鳥インフルエンザが鶏やアヒルの他にも、色々な種類のトリに感染することが知られていますが、国内で鳥インフルエンザが発生したために、これまでペットとして家庭などで飼育していたトリが直ちに危険になるということはありません。 トリや動物は、ヒトへの感染の有無は別として、ヒトとは異なるウイルスも、ヒトと共通のウイルスも保有することが知られています。 トリに限らず、動物を飼う場合は、動物に触った後は手を洗うこと、糞尿は速やかに処理して動物のまわりを清潔にすることなどを心がけることが重要です。また、動物の健康状態に異常があった場合は獣医さんに、飼い主が身体に不調を感じた場合は早めに医療機関を受診することも大切です。
Q8
ヒトのインフルエンザワクチンは鳥インフルエンザに対して有効ですか?
A
現在使用されているヒトのインフルエンザワクチンはヒトの間で流行しているAソ連(H1N1)、A香港(H3N2)、およびB型に対して効果のあるもので、H5やH7などの鳥インフルエンザに対しては効果がありません。
Q9
鳥インフルエンザにヒトが感染した場合、どのような診断方法と治療方法がありますか?
A
鳥インフルエンザはヒトで流行しているソ連型(H1N1)や香港型(H3N2)とは異なりますが、大きな分類ではいずれもA型インフルエンザウイルスに属するものです。ヒトのA型インフルエンザウイルスの診断に使う迅速診断キットで、鳥インフルエンザウイルスを検出することは可能ですが、どの型のウイルスに感染したかの同定は、分離されたウイルスの抗原解析や遺伝子の検査など、さらに細かい解析を行う必要があります。A型インフルエンザの治療に用いられている抗インフルエンザウイルス薬も、鳥インフルエンザに効果があるといわれています。
Q10
鶏肉や鶏卵を食べて、感染することがありますか?
A
食品としての鳥類(鶏肉や鶏卵)を食べることによってヒトが感染をした例はありません。
Q11
高病原性鳥インフルエンザウイルスが存在した鶏肉や鶏卵を食べても大丈夫ですか?
A
我が国では、これらの病原性の高い鳥インフルエンザは、家畜伝染病予防法上、家畜伝染病(法定伝染病)として位置づけられており、発生した場合は、鳥の間での拡大を防ぐために発生の届出、隔離、殺処分、焼却又は埋却、消毒等のまん延防止措置が実施されることになります。 したがって、これらの感染鳥やその卵が食品として市場に出回ることはありませんし、Q10のように、食品としての鶏肉、鶏卵などからの感染はないと考えられます。 なお、WHOによると、ウイルスは適切な加熱により死滅するとされており、一般的な方法として、食品の中心温度を70℃に達するよう加熱することを推奨しています。
Q12
山口県の事例への対策は、どのようなものですか?(感染した鶏の処分は?)
A

今回の事例では、ニワトリでの高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたものであって、ヒトへの感染は確認されていません。 現在、農林水産省では、以下のような、家畜防疫の観点での対応を進めています。

  • 当該農場の飼養鶏全羽の殺処分、消毒
  • 半径30km以内の区域の周辺農場における移動の制限、疫学調査の実施

また、厚生労働省では、ヒトへの感染の防止や、万が一の患者の発生に備え、以下の対策を進めています。

  • これまで、鶏肉や鶏卵の摂取によるヒトへの感染は報告されていないものの、念のため当該農場に対し、出荷された鶏卵の自主回収、関係者の健康状態の確認、感染防御の徹底を指導
  • 万が一、患者が発生した場合に備えて、医療機関などに高病原性鳥インフルエンザが疑われる患者に関する情報提供の協力要請など、迅速な情報の把握

このような取り組みを通じて、ヒトの健康被害の発生防止に努めています。

Q13
発生農場の鶏の殺処分等に関わる養鶏従事者・獣医師等の感染防御は、どのようなものですか?
A
  • ニワトリの殺処分と死体処理、検査などにあたっては、感染が疑われるニワトリの体液、排泄物等による汚染に注意し、作業に従事する者はそれらの体液等に直接触れたり、吸い込まないよう、ガウンを着用し、手袋をつけ、ゴーグル、医療用マスク等で防御すべきです。また作業終了後は、石鹸、流水による手洗いが必須です。院内感染予防対策におけるマスク、手袋、ゴーグルの装着、手洗いの方法などを参考に作業前に練習と確認を行い、確実に実施できるようにして下さい。
  • 通常のインフルエンザウイルスと高病原性鳥インフルエンザウイルスに同時に感染すると、両者の間でウイルス遺伝子の再集合がおこり、新型インフルエンザが発生する可能性があります。このため、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染したトリと接触する者については、通常のインフルエンザに感染しないようインフルエンザの予防接種を受けることが求められます。
  • 感染したトリの殺処理に従事するなど、特別なリスクが予測される場合には、予防的に抗インフルエンザウイルス薬の投与を受けることが望まれます。
  • 作業に従事した者およびその家族については、健康状態に留意し、発熱などインフルエンザ様症状の出現などの体調に異常があった場合は、その旨を医療機関に伝えた上で直ちに診療を受けて下さい。
Q14
外国でも発生していると聞きますが、海外旅行は大丈夫ですか?国内での旅行や移動はどうでしょう?
A
現段階では、鳥インフルエンザウイルスの発生を理由に発生国への渡航の自粛、中止などの必要はありません。また、国内の旅行、移動も同様に、鳥インフルエンザウイルスの発生を理由にその土地への旅行や移動の自粛、中止などの必要はありません。但し不用意、無警戒に流行地の生きた鳥類のいる施設への立ち寄り、接触などは行わない方がよいでしょう。