(3)セラチア菌の感染予防対策
【1】手洗い

手洗いはセラチア菌の感染予防に大変重要です。石けんと流水による手洗いも十分に行えば有効ですが、石けんの衛生管理には注意しましょう。また手洗い後の手指消毒にはエタノール製剤などの速乾性手指消毒剤が有効です。
【2】器具・環境の消毒

クリティカル・セミクリティカル器具は通常どおり滅菌・高水準消毒を行い、呼吸器系装置に関しては次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールも用います。セラチア菌の中には、低レベルの消毒薬に対し抵抗性を持つ株が存在します。それらが存在する可能性の高い、湿潤な器具・物品・環境に消毒薬を使用する場合には以下の消毒薬が使用されます。
- 熱水(注:耐熱性の器具・物品のみに使用します)
- 500ppm次亜塩素酸ナトリウム液(注:金属を腐食することがあります)
- アルコール(注:樹脂や塗装を変質させることがあります)
浴室などの広範囲な環境表面は、ブラッシングなどの物理的な清掃が基本ですが、場合によっては、下記のような消毒薬を補助的に用いることもあります。これらの消毒薬に対しては、セラチア菌が耐性を持つ場合があるので注意が必要です。
- 0.2%塩化ベンザルコニウム液、0.2%塩化ベンゼトニウム液
- 0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液
(4)まとめ
乾燥した表面を経由して伝播するMRSAなどのグラム陽性菌とは異なり、セラチア菌などのグラム陰性桿菌は、薬液や湿潤環境を経由した伝播が特に問題となります。しかし3.セラチア菌の感染予防対策であげた「手洗いの励行」「器具・環境の消毒」「薬剤の衛生管理」などは、常に行う必要のある標準的な予防策でもあります。
また、湿潤環境を完全に消毒することが難しいので、環境消毒だけに頼るのではなく、処置・介護前後の手洗いが重要であるといえます。セラチア菌のためだけの特別な感染対策というよりも、目に見えないさまざまな微生物を想定した、標準的な感染予防策を日常的に行うことが大切です。