(2)肝炎とは?
【 肝炎の分類 】
肝炎は、病態により主に急性肝炎、慢性肝炎、に分けられます。また、成因によってウイルス性(A型、B型、C型、E型その他)、アルコール性、薬物性、自己免疫性、その他に分類されます。日本人の場合、80%がウイルスによるもので、次いで薬剤やアルコールが原因となっています。今回は、ウイルスによる肝炎についてお話します。
☆急性肝炎 急性の炎症
☆慢性肝炎 6ヶ月以上にわたって肝臓の炎症が続くもの

【 ウィルス性肝炎のメカニズム 】

肝炎は、肝炎ウイルスが体内に入り込むことにより、起こります。ただ、入りこむだけではなく肝細胞に住みついてしまいます。肝炎ウイルスは、肝細胞を直接破壊することはないため、肝炎ウイルスを持っているからといって、すぐに肝炎になるわけではありません。
肝炎ウイルスに対して免疫機能が働き、抗体を作り、ウイルスの住みついた肝細胞を一緒に破壊してしまうことにより、肝臓に炎症が起こり、これが肝炎の発症となります。この際に、リンパ球もウイルスを排除しようと働いています。ということは、肝細胞に肝炎ウイルスが住みついていても、免疫が働かなければ、肝細胞は破壊されず、肝炎は発症しません。また、肝炎ウイルスが、免疫によって完全に排除されれば、肝炎は治まります。
【 A型肝炎の特徴 】

A型肝炎は、典型的な消化器感染症の一つです。汚染された貝類などの食品を食べて感染することが多く、特に2〜4月にかけてよく発生します。また、衛生状態の悪い地域でよく見られます。子どもの時に感染した場合は、ほとんどが不顕性感染で終りますが、大人になってから感染すると、発症することが多く、症状も一般に激しくなります。
水・食物を介しての経口感染・水平感染によって感染。 A型、E型肝炎ウイルスは主に糞便の中に排出されるので糞便に汚染された食物や手指を介して口から入り感染します。
A型肝炎ウイルス(HAV)
主に発熱、悪心、全身倦怠感、食欲不振、下痢、嘔吐など風邪のような症状がみられます。 このような症状が消え、尿が黄色っぽくなる、あるいは便が白っぽくなると回復へ向います。 ウイルスの感染は一過性であり、持続性ではないので慢性肝炎に移行することはありません。
【 B型肝炎の特徴 】

B型肝炎は、一過性のものと持続性のものがありますが、持続性のものはほとんど母子感染によるものです。母子感染では、100%の小児が感染し、70%がキャリアーになるといわれています。3、4歳までに感染するとキャリアーになることが非常に多いようですが、成人の初感染の場合、欧米では約10%程がキャリアーなるといわれています。日本では、多くの場合急性肝炎となって治癒し、キャリアーになることは、ほとんどないといわれています。
血液を介して感染する血液媒介型感染です。以前は、輸血・性交・針刺し事故・母子感染により感染するケースが多くみられましたが、現在は、キャリアーとの性交による感染や家族内感染が、重要な感染経路としてあげられています。
B型肝炎ウィルス(HBV)
全身倦怠感、食欲不振、悪心などの風邪症状が特徴です。風邪症状が消えると、黄疸が出現します。黄疸出現後は、尿の膿染(紅茶色)が見られます。その後、便が白っぽくなると回復に向います。
成人してからかかったB型肝炎のほとんどは、一過性の急性肝炎で終りますが、一部は重症化した肝炎を起こすことがあります。
【 C型肝炎の特徴 】

C型肝炎は、季節、年齢、性別を問わず、発症します。以前は非A型非B型といわれたものの大部分がC型肝炎といわれています。輸血から生じる肝炎症例の少なくとも80%を、C型肝炎が占めており、A、B型肝炎とは異なり、成人の初感染でも慢性化することが最も深刻な問題となっています。
血液を介して感染する血液媒介型感染です。B型感染のように針刺し事故によるものや家族内感染はそれほど多くはありません。体内に大量に血液が入る輸血による感染が主です。近年、輸血用血液のスクリーニングが実施されるようになり、以前の約1/3に減りました。
C型肝炎ウィルス(HCV)
主に発熱、悪心、全身倦怠感、食欲不振、下痢、嘔吐など風邪のような症状がみられます。 このような症状が消え、尿が黄色っぽくなる、あるいは便が白っぽくなると回復へ向います。 ウイルスの感染は一過性であり、持続性ではないので慢性肝炎に移行することはありません。
【 E型肝炎の特徴 】

E型肝炎は、日本を含め先進国にはないといわれていますが、時折、流行を引き起こします。日本においてもE型肝炎による感染者を含め、死者が発見されています。
A型と同様、水・食物も介しての経口感染・水平感染によって感染。主に、ウィルスは糞便の中に排出されるので、糞便に汚染された食物や手指を介して口から入り感染します。
E型肝炎ウィルス(HEV)
主に発熱、悪心、全身倦怠感、食欲不振、下痢、嘔吐など風邪のような症状がみられます。 このような症状が消え、尿が黄色っぽくなる、あるいは便が白っぽくなると回復へ向います。 ウィルスの感染は一過性であり、持続性ではないので慢性肝炎に移行することはありませんが、ときに劇症肝炎になることがあり死亡することもあります。死亡率は、A型肝炎に比べて10倍といわれています。