(3)感染ルートとその対策
【 疥癬 】

疥癬の感染ルートとその対策をご紹介します。対策を立てるにあたっては、疥癬なのかどうか、普通の疥癬か角化型疥癬か、また、患者の生活状況を把握し、感染ルートと感染範囲を推定することが大切です。
これらの把握がなされないと、不適切な薬剤を使用して症状を悪化させたり、ピンポン感染を引き起こすことにつながります。
また認知症の方などの場合、自分で症状を説明できないこともあります。
使用する薬剤には、硫黄剤、安息香酸ベンジル、クロタミトンなどがあります。適切な治療を効果的に行うためには、専門の医師に相談し、患者をはじめ感染の可能性のある人全員に適切な治療を開始することが大切です。
【1】直接接触による感染
疥癬はSTD(性行為感染症)といわれることもあります。それは感染ルートのひとつが「肌から肌への直接接触」によるためです。しかし必ずしも性行為を伴わなくとも、長い期間寝起きをともにする間柄でも感染します。例えば同室で就寝する家族や、寄宿舎、社員寮での集団発生などの例があります。また接触の多い看護・介護の現場では施設利用者から看護者・介護者への感染する例も多く見られます。
■対策例■
- ケアの区切り時など、手洗いをまめに行います。
- 介護・看護の際には使い捨て手袋や専用のガウンを着用します。
【2】間接接触による感染
布団やベッドなどのものを介しての感染です。ヒゼンダニは人から離れて長く生きることはできませんが、温度や湿度などの条件が良ければ2〜3日から2週間も生きていることがあるので、シーツや毛布を交換しないまますぐに別の人が使用すると感染する場合があります。
■対策例■
- 寝具は使用の度に交換・洗濯します。(通常洗濯で可)
- 使用後すぐ別の人が同じ寝具を使用することのないようにします。
- シーツ、布団カバー、肌着など直接肌に触れるものは毎日洗濯します。(通常洗濯で可)熱湯への浸漬や、乾燥機の使用はいっそう効果があります。
- 居室はほこりがたたないように静かに掃除します。
- 布団は日に当てて干します。
- 汚染されていると思われる物品を扱った後は手洗いをしましょう。
【3】角化型疥癬からの感染
患者の皮膚の落屑が周囲に飛び散り、それが他の人に付着して感染が起こります。この落屑にはヒゼンダニが大量に付着しているので、少量でも感染は起こり得ます。■対策例■
- 患者は個室管理します。
- 患者と肌が直接触れないように配慮します。また、手洗いをまめに行います。
- 患者のいた部屋はピレスロイド系殺虫剤の撒布をします。
- リネン類は毎日交換します。交換の際には落屑が飛び散らないようていねいに扱い、50℃以上の熱湯に約10分間つけてから洗濯します。また、乾燥機の使用も有効です。
- 隔離室への入室の際は予防衣を着用します。長時間の接触はさけるよう留意します。
- 感染機会があった人を推定し、症状が無くても予防的治療を行います。例えば同室者、担当医、看護師、介護者、見舞い客、掃除・洗濯などの作業担当者が対象となります。