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感染予防教室

●知って得するさまざまな感染症

疥癬

■疥癬とは? ■症状
■感染ルートとその対策 ■疥癬Q&A

(1)疥癬とは?

【 疥癬 】

疥癬は「ヒゼンダニ(疥癬虫)」というダニの1種が、人の皮膚の最も外側の角層内に寄生するためにおこる、人から人にうつる感染症です。

ダニ

ヒゼンダニの大きさはメス成虫で0.4mmくらいで、眼の良い人でもルーペでやっと見つけることができるくらいの大きさで、オスはさらに小さいです。昆虫と違って成虫の足は8本あります。


メスは交尾後、人の角層(あかになっておちていく部分)の中に数mmから数cmの横穴を掘りながら卵を産み続けます。この横穴を「疥癬トンネル」といい、疥癬に特有の症状のひとつです。主に手首の関節から先の手のひら、指間部、指にできます。メスはほとんどこのトンネルの中にすみ、1日に2〜3個、1ヶ月以上も卵を産みつづけます。産みつけられた卵からは、3〜4日で幼虫が孵化します。この幼虫は2週間程度で成虫となり、また卵を産みます。


幼虫やオスは、皮膚表面をうろついたり、一時的な穴を掘ったり、毛包内に一時的にすみついたりしますが、定まった生活場所はありません。いずれにしてもヒゼンダニの生息場所は角層内、もしくは皮膚表面に限られ、人から離れて長く生存することはできません。熱、乾燥に弱く、50℃では10分程度で死滅します。

【 角化型疥癬(ノルウェー疥癬、痂皮型疥癬) 】

普通の疥癬よりも症状が重く、感染力も強いです。原因となるダニは、普通の疥癬と同じヒゼンダニです。ではなぜ症状が違ってしまうのかというと、寄生される方の免疫力の低下が影響するためです。


角化型疥癬は、それ単独ではなく、もともと何らかの基礎疾患があって、それに合併する形で発症します。具体的には、加齢による全身衰弱、重症感染症、悪性腫瘍の末期、免疫抑制剤の投与による免疫不全、副腎皮質ホルモン剤多量長期投与などが関わると推測されます。つまり、免疫力が低下すると普通の疥癬ではなく、角化型疥癬として発症するものと思われます。したがって病院内や高齢者施設などでの発症が多く見られます。普通の疥癬が、一人につき多くても1,000匹程度のヒゼンダニが寄生するのに対し、角化型疥癬では100〜200万匹にも達するといわれます。

(2)疥癬と角化型疥癬の症状

【 疥癬の症状 】

疥癬は感染してから約1ヶ月の無症状の潜伏期間を経て発症します。 (※疥癬経験者または再発者は潜伏期間がない場合があります。)

かゆい
  • 夜間の激しいかゆみ
  • 指、手のひら、手首などの発疹:疥癬トンネル(わずかに盛り上がった線状疹)
  • 腹部、大腿部などに散在する紅色の小丘疹
  • 陰部、わきの下などにできる赤褐色の小結節
  • 家族、共同生活者などや、仮眠室を共有する人たちに同様の症状の人がいる

    など。

【 角化型疥癬の症状 】

普通の疥癬とは異なり、角質が増殖し重なりあい、カキ殻状になります。角質は触れるとぼろぼろと落屑します。体幹、四肢の関節の外側、骨の突出した部分など、圧迫や摩擦が起こりやすいところに多く見られます。また、普通の疥癬では発症しないような部位、例えば頭部や爪にも発症します。かゆみもさまざまで、非常に強いかゆみを訴える人から、まったくかゆみを伴わない人もいます。


増殖した角層内にはヒゼンダニが層をなして潜んでいます。これらが落屑すると、周囲に飛び散り感染の原因となります。虫体数が多いだけに感染力がとても強く、広範囲の施設内感染を引き起こすことが多く、普通の疥癬と比べるとはるかに問題が多いといえます。