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感染予防教室

●Q&A

■Q&A バックナンバー

消毒薬の使用で注意することはありますか。

消毒効果に影響を与える因子として五つあります。

まず、一つめは微生物の種類や量です。消毒薬には、それぞれ異なった抗微生物スペクトルがあり、万能消毒薬のないことを念頭に置いて消毒薬を選択し、使用しなければなりません。また、微生物の量が多いと消毒に時間がかかります。よって菌量を減らすという観点から消毒前の洗浄は有効となります。

二つめは、有機物などの影響です。消毒薬の多くは、血液をはじめとした有機物に影響を受け殺菌力が低下します。よって、前洗浄し有機物を落としてから、消毒することが基本となります。また、石けんや洗剤も殺菌力に影響を及ぼします。洗浄した後は、十分に水ですすぐようにしましょう。

三つめは、消毒対象物の性状です。次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、塩化ベンザルコニウムなどは、金属を腐食させやすく、逆にクロルへキシジングルコン酸塩などは金属を腐食させにくいです。また、繊維・布であれば、次亜塩素酸ナトリウムは、脱色するとともに酸化させて強度を著しく低下させます。また、ヨウ素系消毒剤は、繊維を着色させます。塩化ベンザルコニウム、クロルへキシジングルコン酸塩、グリシン系両性界面活性剤などの消毒薬は、繊維に吸着されやすく、その結果、溶液中の濃度が低下し、有効濃度が得られないことがあります。

四つめは、作用濃度・時間・温度です。濃度は、一般的に高いほど作用が強いですが、濃度低下による作用の低下の程度(濃度依存性)は薬剤により異なります。誰が消毒剤を調製しても適正な濃度となるように、計量カップや希釈倍率の表を準備しておく必要があります。作用時間は濃度によって決まってきます。作用時間が長いほど効果は確実になります。一般に温度が高いと殺菌作用は強くなり、低くなると弱くなります。これは、殺菌剤の作用が化学反応であるからです。通常、作用温度は室温(20〜25℃)です。

最後は、pHです。薬剤(イオン解離度)と菌体表面(菌体表面のイオン化)の両方に影響を与えます。例えば、塩化ベンザルコニウムは、酸性側で殺菌効果の低下を招き、弱アルカリ性で使用されます。また、グルタルアルデヒドもアルカリ側で殺菌効果が高いため、アルカリ性に調製された実用液として使用されます。逆に、ポビドンヨード液などは、酸性側で殺菌力が強くなり、アルカリ性が強いと殺菌力はほとんどなくなります。クロルへキシジングルコン酸塩は、アルカリ性で難溶性のクロルヘキシジン塩基を析出して沈殿を生じ、殺菌効果がほとんど消失します。また、pHは、薬剤の安定性、安全性にも影響を与えます。次亜塩素酸ナトリウムは、中性付近での使用が理想となっていますが、市販品は次亜塩素酸の分解を防止するために強アルカリ性に調製されています。酸性にすると殺菌効果を示す次亜塩素酸の量が多くなり殺菌力は上がりますが、塩素ガスを放出して危険です。

これらのことに注意し消毒薬を上手に使用しましょう。

 

*下記の書籍より転載いたしました。

著書名 : 訪問介護事業者のための感染症ハンドブック

監修・編集 : 鈴木幹三

出版社 : 中央法規