今季(2008年)も、ノロウイルス感染症やインフルエンザが、全国的に発生し、本格的な流行シーズンを迎えた感があります。
ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎は(昨季と同様)国内各地で多発し、ノロウイルス以外のウイルスによる下痢症や急性腸炎も(例年通り)発生しています。また、インフルエンザも、昨年の10月頃から国内各地で発生し始め、20年ぶりの最も早い時期での流行となっています。今のところ、ここ数年流行がなかった「Aソ連型(AH1亜型)」のインフルエンザウイルスによる感染(発症)が多く、小・中学校等の教育施設や幼稚園、保育施設などで多発し、集団感染を防ぐため、学級(学年)閉鎖や休園などの処置がとられています。そのうち、昨冬に流行した「A香港型」や「B型」のインフルエンザウイルスによる感染(発症)も増えてくると思われます。また、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)が、隣国の中国で「人から人」に感染?して死亡した報道もあり、この新型インフルエンザが、日本にも上陸する恐れが出てきています。子供や乳幼児は言うまでもなく、体の抵抗力(免疫力)が衰えている高齢者や入院中の患者(とくに術後患者)は要注意です。
と言うのも、インフルエンザの有効な治療薬「タミフル」が、服用後の異常行動(転落死など)で問題となり、同じ治療薬(「リレンザ」や「シンメトリル」)も(最近になって)異常行動の発生事例が報告されています。タミフルの場合、その処方が10代で原則禁止となっていますが、タミフルを服用しなくても異常行動が起きており、何故、異常行動が起きるのか、その原因がはっきりと分かっていません。このような状況で、現在のところ、前記以外に有効なインフルエンザ治療薬が見当たらず、安全確保面から、治療の選択肢が狭められ、治療より感染予防に依存せざるを得なくなっています。
インフルエンザに感染しないよう、ワクチンの接種やマスクの着用、手洗い(手指消毒を含む)、うがい(洗口)や食後の歯磨きなどの口腔ケアを行い、咳(せき)エチケット(くしゃみをする時は、ティッシュで口と鼻を押さえたり、他の人に顔を背けて1メートル離れるなど)を遵守する。自分の身体は(自分で)守り、他人に迷惑をかけない姿勢で以て、自ら感染予防対策に取り組むことが求められています。
また、インフルエンザやノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎を発症した後、肺炎や脳炎、脳症などの重い症状を併発して死亡する人も多くなっています。とくに肺炎は、高齢者(とくに70代以上)に多く発生しており、そのうち誤嚥性肺炎が半数以上を占めています。今冬も、12月に山形県や大分県の特別養護施設などで、ノロウイルスによる集団感染があり、感染性胃腸炎を発症した80代以上の男性や女性が、肺炎を引き起こして死亡しています。このような誤嚥性の肺炎を併発して死亡する高齢者が、年を追って増える傾向にあります。
インフルエンザやノロウイルス感染症の発生(流行)時は、肺炎の感染にも十分に気をつけ、食べ物や嘔吐物等の誤嚥による肺炎を引き起こさないよう、口腔ケアや誤嚥防止ケアをまめに行う必要があります。
高齢者が利用(入所)する福祉(介護)施設等で、介護や看護等に従事する人達は、筆者が記した専門コラム(第17回;誤嚥性肺炎、第21回;ノロウイルス、第23回;インフルエンザ)を(もう一度)ご一読いただき、高齢者の健康状態に気を配りながら、必要な衛生対策に取り組んで、上記感染症(とくに誤嚥性肺炎)が発生しないよう、十分に注意していただきたいと思います。
(2008.1.25)