今季は、ノロウイルスによる急性胃腸炎や食中毒が、4月に流行ピークが過ぎたにもかかわらず、今も国内各地で発生しています。さらに、麻疹(はしか)が全国的に流行し、6月下旬になっても散発し、病原性大腸菌(O157など)やサルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌などによる細菌性食中毒も相変わらず国内各地で発生しています。
これから7月に入り、日中の気温が30℃を超え、湿度が高くなる日が多くなりますと、室内でかびが発生、繁殖しやすくなり、浴室などの湿気がこもる場所は、かび対策が必要になります。また、人の健康状態や体調も崩れやすく、食中毒や感染性胃腸炎にかかりやすくなっています。体力が衰えている高齢の要介護者は、とくに要注意で、彼等の健康や体調の状態、食品(食材を含む)や飲み水等の管理、施設(とくに室内)の衛生状態などに十分気を配る必要があります。福祉(介護)施設では、食中毒や感染症の発生を少しでも防ぐため、手洗いの励行だけでなく、必要に応じて手指や食器類・調理用具、手拭い・ナプキン類やシーツ類、マット類、浴室やトイレ等をきちんと消毒するため、消毒薬を使用する機会が増えます。
前回のコラムでは、施設で利用される抗菌製品(抗菌グッズ)について、過大な期待や過信、安易な使用を避けるよう、注意を促しました。消毒薬も同様で、正しく使わないと、その効果が十分に期待できません。食中毒や感染症の発生(流行)時は、有効かつ即効性がある衛生対策として、今までの経験や実績もあって、つい消毒薬に頼ってしまいます。その結果、消毒薬の乱用だけでなく、消毒の作業(行為)を習慣や馴れ、勘で漫然かつ安易に行ってしまう場合も生じます。薬液をむやみに撒き散らすなど手抜きや不備な点があったことに気づかず、「消毒した、消毒できた」と思い込んでしまう。消毒の効果を確認するなど科学的根拠を持たず、そのまま同じ消毒の作業(行為)を(いい加減に)続けていると、大変なことになります。施設で予期しない食中毒や感染症、薬害(皮膚炎や呼吸器系疾患など)の発生をもたらすおそれがあり、このような発生現場を(筆者は)多く見てきています。消毒の効果は、自分の目で病原菌の存在(死滅、生残)を確かめない限り、その効果の有無が本当に分からず、消毒薬の選択と使用は十分に注意する必要があります。
福祉(介護)施設では、消毒を目的としてアルコール系や第4アンモニウム塩系、塩素系など種々の化学薬剤(消毒薬)が導入、使用されています。しかし、筆者が見てきた施設の消毒現場の中には、消毒の実施内容に疑問を抱いたり、不安に感じる消毒の作業(行為)を平然と行っている現場もかなり見受けられます。安全で効果のある消毒を実施していくため、以下に記す10点をとくに注意、留意しながら、消毒を正しく実施することが望まれます。
このように、必要に応じて間違いのない消毒を的確にきちんと実施しながら、日常の健康管理や食品衛生、衛生慣行、環境衛生などに十分気を配って、健康な身体や衛生的な生活環境を維持することが重要と思われます。食中毒や感染症の発生を心配せず、健康で快適な生活ができるよう、高齢者がいる福祉(介護)施設は、今年4月に施行された改正医療法で国から提示された指針やガイドラインを参考にして、施設が一体となって自施設の状況に合った適切な感染予防体制(上記消毒などの微生物殺滅法を含めた衛生対策がきちんと組み込まれた感染予防指針や感染症(食中毒を含む)対策実施マニュアルの作成や、感染予防対策チームを設置と活動)を構築、整備していく必要があり、施設の利用者からも望まれていると思われます。
(2007.07.24)