ここ数年、国の感染症発生情報や食中毒発生状況を見る限り、国内で破傷風やガス壊疽の発生に関する報告は殆ど見当たらず、ボツリヌス菌による食中毒も発生していないようです。また、ウェルシュ菌による食中毒も、その発症患者数が年間3,000人以下(細菌性食中毒の2割程度)と減少傾向にあります。とは言え、気腫疽菌による死亡事例やクロストリジウム・ディフィシレによる腸炎が国内で発生しており、油断は禁物です。
他の食中毒や感染症と同様に、クロストリジウム属菌による食中毒や感染症の発生についても、その情報入手を(日頃から)心がけておいたほうが無難です。その発生状況や感染経路、発症の症状及び対処法(治療法や感染防止対策)などを正確に知り、必要な感染予防対策が迅速に取り組めるようにしておく必要があります。
その対策の内容は、他の食中毒や感染症の発生(拡散)防止で取り組む内容と基本的に殆ど変わらず、1)菌(芽胞を含む)に汚染した(あるいはそのおそれがある)物品類や汚物等に(手袋を着用せず)触れた時や、感染(発症)患者の世話(介護)などをした後は、必ず手洗い(必要に応じて消毒)を行って除菌する、2)傷口などに土砂等異物が付着した場合は、その傷口部をきれいな水(水道水など)で十分に洗浄し、異物を洗い流した後、消毒薬で消毒する、3)塩素系消毒剤は芽胞の殺滅に有効ですが、生体への適用は避ける、手指等皮膚表面(傷口部を含む)の消毒は、薬害(副作用など)が出にくい消毒薬(アルコールやオキシドール類など)を使用し、手洗い(必要に応じて石鹸や洗剤を使用)→消毒→手洗いを励行、徹底して菌(芽胞)を除去する、4)菌(芽胞を含む)に汚染した(あるいはそのおそれがある)物品類(衣類や寝間着、シーツ類、手拭きなど)や汚物(糞便など)は、塩素系消毒剤で浸漬消毒を行う、あるいはオートクレーブなどの高圧滅菌器で消毒する、5)缶や瓶詰めされた食品やレトルト食品、真空パックされた食品は、使用期限(賞味期限)内に出来るだけ早く食べる、6)缶や真空パックした容器が異常に膨張したり、変な味や臭いがする食品は、冷蔵(あるいは冷凍)庫で保存して使用期限内であっても食べないなどが、とりあえず必要な遵守事項として挙げられます。
食中毒や感染症に詳しい専門家(医師や獣医師、薬剤師、看護師など)の指導や助言を受けながら、外傷(切り傷など)の手当て(処置)や食品(食材)や使用物品類等の衛生管理、衛生慣行(手洗い励行など)を取り組んでいく。その中で適切な薬剤(消毒薬、洗剤、除菌剤など)を導入して、消毒(除菌)を適正に実施して、必要な衛生啓蒙(衛生教育)を実施しながら、クロストリジウム属菌による食中毒や感染症の発生を未然に防いだり、他の人(家族や同室者、看護(介護)者など)への感染拡大を防ぐ必要があります。
下痢や嘔吐、腹痛、便秘、出血便、神経障害(視覚異常など)、皮膚表面部位の異常な変化(変色、出血、びらんなど)の症状が出て、クロストリジウム属菌による食中毒や感染症の発生が疑われる時は、出来るだけ早く、病院などの医療機関で診察を受け、通院(あるいは入院)して適切な治療を受けて治すことが肝要です。それ以上に、上記食中毒や感染症に罹らないよう、普段から健康状態や体調変化などに注意しながら、栄養のバランスがとれた食事(サプリメントの利用を含む)と十分な睡眠や休養をとって、体力(免疫力)の低下を招かないよう毎日の生活を規則正しく送ることも大切と思われます。日常の健康管理や衛生慣行、衛生管理に心がけて、クロストリジウム属菌による食中毒や感染症(下痢症、大腸炎など)にかからないよう十分に注意して下さい。