今冬(2006.12〜2007.2)は昨冬と異なり、雪もあまり降らず、晴天の日が多く、日中が10℃以上の気温で暖かい、穏やかな日々が続いています。この暖冬は、エルニーニョ現象や地球の温暖化が原因と言われていますが、それでも夜中は気温が0℃近くまで降下して冷え込む日もあり、かぜやインフルエンザにかかりやすくなっています。1日の室内の気温の変化が大きく、空気が乾燥して湿度も低くなりがちで、室内の暖房管理(温度、湿度)が十分に行き届いていないと、体の抵抗力(免疫力)が小さい高齢者や子供、乳幼児は要注意です。
まだノロウィルスによる食中毒や感染性胃腸炎が(2月になっても)国内で(相変わらず)発生している中で、ウィルス性下痢症やかぜ、インフルエンザも(例年通り)多発しています。とくに今年のインフルエンザは、その発生(流行)ピークが1カ月程度ずれて国内各地で散発しており、今も、小・中学校で学級閉鎖が行われたり、医療施設や介護施設で肺炎を併発して死亡する高齢者が出ているようです。
このような時期こそ、高齢の入院患者や介護を受けているお年寄りの方は、健康管理に十分気をつける必要があります。暖冬で、つい油断して気が緩み、薄着して、テレビを見ながらうたた寝をしたり、寝冷えなどして、かぜやインフルエンザにかかってしまう。健康な大人も、不規則な生活や過労、睡眠不足など不摂生が続くと、体調を崩してかぜやインフルエンザにかかりやすくなっています。かぜは、大抵の場合、軽い症状に止まり、数日間で治りますが、インフルエンザはかぜに比べ、感染(発症)した後の対応(治療)が遅れると、上記したように肺炎や脳炎、脳症などを併発して死亡することがあります。
さらに、今は、どちらかと言うと、鳥インフルエンザも心配です。宮崎県や岡山県の養鶏場から検出された高病原性鳥インフルエンザウィルス(H5N1型)が、いつ鳥型から人型に変異して、人から人へと感染する新型ウィルスに変るかが大変懸念されています。この新型ウィルスの感染予防に対応できるワクチンが用意されていないだけに、国内で大流行して、多数の死者が出る恐れがあります。
それだけに、この新型インフルエンザを含め、日頃からインフルエンザの発生に関する情報は少しでも早く入手して、その感染経路や症状及び対処法(治療法や感染防止対策)などを正確に知り、それにもとづいて(インフルエンザの流行時期に)必要な感染の発生(拡散)防止対策が迅速に取り組めるようにしておく必要があります。
インフルエンザは、その殆どがウィルスによるもので、感染(発症)者のくしゃみや咳などで、空気中に飛び散ったウィルスを吸い込んで感染、発症しています。また、感染(発症)者の鼻汁や唾液の中に含まれるウィルスが、食器やタオルなどの物品やドアノブ、手すり等に付着し、それを介して他の人が接触感染し、インフルエンザを発症するおそれもあります。それだけに、インフルエンザ感染の発生(拡散)防止は、ノロウィルス感染症(感染性胃腸炎)と同様に、感染形態の多様化(飛沫感染、接触感染)を十分に考慮しながら、その感染防止対策を講じることが必要になっています。
福祉(介護)施設や一般家庭などで、日常生活の中で出来るインフルエンザの感染予防対策として、
1)インフルエンザが発生(流行)する前に、医療機関でワクチン接種を受けておく、
2)インフルエンザの流行時は、人込みを避け、外出する時はマスクを着用する、
3)外出から帰って来た時やインフルエンザ患者の見舞い(世話、介護)などをした後は、(ウィルスを除去するため)うがいと手洗いを行う、食後の歯みがきも励行する、
4)インフルエンザ患者に接する時はマスクを着用し、素手でインフルエンザ患者が触れた食器などの物品類に接触しないようにする、箸やスプーン類、手拭き(ハンカチ、タオルなど)の共用を避ける、
5)インフルエンザ患者がいる室内は、清掃(とくに拭き掃除)と室内の空気の入れ換え(換気)をまめに行う、
6)インフルエンザ患者が使用した食器類や衣類(寝巻きなど)などは、熱水や消毒薬を用いて消毒し、清潔な状態に保持すること
などが挙げられます。とくにインフルエンザの発生(流行)時期は、一日の気温が低く、その変動や室内外の温度差が大で、空気も乾燥しやすく、喉の中が乾燥して、その防御機能が低下し、インフルエンザウィルスに感染しやすくなっています。室内が乾燥しないよう適度の温度(25〜28℃位)や湿度(50〜60%位)に保ちながら、前記1)〜6)に記した予防対策を行ったり、衛生慣行を励行して、インフルエンザの感染を防止したり、他の人(家族や同室者など)への感染の拡大を防ぐ必要があります。
また、インフルエンザの兆候(38℃以上の高熱や関節痛、悪寒などの症状)が認められた時は、出来るだけ早く、病院などの医療機関で診察を受け、通院(あるいは入院)して適切な治療を受けて下さい。ウィルス性のインフルエンザを単なる風邪と(自分で)判断して、医療機関に行かず、市販のかぜ薬で治そうとする人がいますが、これは非常に危険です。必ず、医師が処方した“くすり”を服用して早く治して下さい。
いずれにせよ、インフルエンザが発生(流行)する時期は、インフルエンザワクチンの予防接種をきちんと受け、手洗いやうがい、歯みがきを励行して、口の中や手指を清潔な状態に保って下さい。健康状態に注意しながら、栄養のバランスがとれた食事と十分な睡眠や休養をとって、体力(免疫力)の低下を招かないよう毎日の生活を規則正しく送ることが大切と思われます。日常の健康管理や衛生慣行、環境衛生に心がけて感染症の予防に努め、インフルエンザやかぜ、肺炎などの感染症にかからないよう十分に注意して下さい。