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第16回:『乳幼児や子供に多い“夏かぜ”の発生と感染予防対策について』

近年、地球温暖化のせいか、9月に入っても気温が高く暑い日々が続いています。その暑さやクーラーによる冷房で体調を崩して、俗に言う“夏かぜ”にかかる人が増えています。この夏かぜは、主として咽頭結膜熱や急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎、ヘルパンギーナ、手足口病などの感染症で、ウィルス(アデノウィルスやエンテロウィルスなど)が引き起こしています。とくに乳幼児や低学年の小学生が、これらの感染症にかかりやすく、ある日、突然、元気がなくなり、38℃以上の高熱が数日続き、目の充血や目やに、口内や手足の水泡に気づき、喉の痛みなどを訴えられて、(もしや重病では?・・・・と心配して)親御さんが慌てふためき、病院等医療施設に駆け込むケースがよく見られます。

そして、この夏かぜが、今、夏季以外の気温の低い時節でも発生するようになり、その主な理由として、

  • ウィルスが変異し、春や冬などの気温の低い時節でも生存するようになった
  • 温水プールや温泉・公衆浴場の利用が増えている
  • ウィルスの検査技術が向上したこと

などが考えられます。

このように夏かぜは、発生時期を特定せず一年を通して、一般家庭やプール場だけでなく、病院等の医療施設においても(院内感染で)散発的に発生しています。そして、ここ数年、夏かぜの発生に関する新聞等の報道で、とくにアデノウィルスによる咽頭結膜熱がよく取り上げられています。咽頭結膜熱は、幼児や子供がプールで感染することが多いので、プール熱とも称されています。喉の痛みや、咽頭の粘膜が赤く腫れたり、目の充血や目やに、38℃以上の高熱などの症状が認められた時には、早く医師の診察を受けた方が無難です。この咽頭結膜熱を含め、夏かぜは、医師の診断・治療を早く受け、安静にしていると、大抵の場合、1週間程度で自然に治るようです。しかし、発症の初期段階で(上記ヘルパンギーナや手足口病などの感染症と)同じ症状を呈する場合が多く、病名を特定出来ずに、誤った診断で治療が(数週間にわたり)長引くこともあるようです。また、この感染症を引き起こすウィルスの種類や症状の進行状況によっては、重症化して脳炎や無菌性髄膜炎、肝炎などの合併症を引き起こすおそれがあり、注意する必要があります。

そこで、このようなウィルスによる夏かぜにかからないよう、一般家庭や医療施設、小学校、幼稚園、保育所、プールなどの遊泳場などで必要な感染予防対策を講じる必要があります。夏かぜの予防に有効なワクチンは(現時点で)なく、夏かぜにかかった乳幼児がいる家庭では、再発や感染拡大を防ぐため、家庭内での感染防止対策の取り組みや衛生管理を徹底する必要があります。

上記症状が出てウィルスによる感染(発症)が疑われた時は、直ぐに医師による的確な診断・治療を受ける。そして、他の人(とくに体の抵抗力が小さい幼児や抵抗力が弱っている老人など)への二次感染を防いで、感染の拡大を防ぐ必要があります。ウィルスに感染した人が身近に居たり、感染する恐れがある不特定多数の人が集まる場所(プールなど)では、

  • 手洗い(とくに食事前や排便後の手洗いなど)やうがいの励行
  • プールや風呂に入る時は、その前後に水道水で洗眼を行ったり、シャワーを浴びて身体を清潔にする
  • タオルやハンカチを共用しない
  • 3)以外で感染者が使用(接触)する日用品や食器類、感染者の手指が触れるドアの取っ手(ノブ)や水栓(蛇口)、手摺りなどを(熱湯や消毒薬等を用いて)消毒、清拭する
  • 抗炎症薬が配合された点眼剤(目薬)の共用を避ける
  • 38℃以上の高熱が続く時は、医師の指示に従いながら、十分な水分補給をする

などが基本的に重要な遵守事項として挙げられます。抗炎症薬や解熱薬、うがい薬、鎮痛薬、消毒薬、洗口液等を使用する時は、医師や薬剤師の指示、指導に従って、その選択を誤らず、正しく使用することが不可欠です。

さらに、一年中夏かぜにかからないよう、日常の健康管理にも気を配って、規則正しい生活を心がけ、暑さやクーラーの冷房などで体調を崩さないよう十分注意して下さい。栄養のバランスがとれた食生活をしながら、必要に応じて水分補給をする。体の抵抗力(免疫力)の維持、増強に必要なたんぱく質やビタミン、ミネラル類と、十分な睡眠や休養をとって、健康保持や体力維持を図ることも大切です。ウィルスに負けない体力(免疫力)や、生活衛生環境及び環境衛生環境を作って、夏かぜ以外のウィルスが原因となった感染症や食中毒にもかからないようにして下さい。