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●Dr.ヨコヤマの専門家コラム

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第14回:『今、国内でエイズの発生が増加傾向、その感染を防ぐために』

今、わが国で、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)の感染によるエイズ発症の増加傾向が認められ、その低減、防止対策が早急に求められています。

今年(2006年)4月には、国内のHIV感染者とエイズ患者の合計が1万人を突破し、先進国の中で、唯一日本だけ、HIV感染者やエイズ患者が増加しています。欧米の先進諸国で新規のHIV感染者やエイズ患者数が減少しているのと対照的で、その増加が社会的に無視できない状況になっています。実際に検査を受けていない(感染や発症が確認出来ていない)潜在的な感染者や発症者を含めると、国内で感染者や発症者が上記報告件数の数倍程度いるのではないかと専門家は非常に懸念しています。

そして、今年(2006年)の4月28日に、厚生労働省のエイズ動向委員会は、国内で2005年に新たに発生したエイズウィルス感染者が832人、エイズ患者は367人の計1,199人と報告しています。この感染者、患者の発生数は、1984年の調査開始以降、最多で、かつ2年連続で合計が1,000人を超えています。

このHIV感染の発生やエイズ発症の状況について、上記委員会の報告によると、HIV感染者、エイズ患者ともに、その大半が日本国籍の20〜30代の男性ですが、10代の若者にも感染が広がっています。

HIVの感染経路は性的接触によるものが殆どで、男性の同性間性的接触による感染が6割を超えています。しかし、異性間の接触による感染も3割程度あり、20〜30代の男女に感染、発症しています。とくに、ここ数年、HIV感染に気づかず(そのまま)放置して、診断を受けた時点で(感染が分かって)既にエイズを発症している若者が増え、新規発症者の3割近くを占めています。感染者、発症患者の低年齢化が進んでおり、男性若年層を中心に、学校など公的な場でのエイズへの関心を高め、性教育の充実も含めた重点的な予防施策がより必要となっています。

HIVは、人に感染すると体内で増殖して血液や精液、膣分泌液の中に数多く存在するようになります。そして、エイズを発症する前段階で下痢や発熱、口内炎、皮疹、リンパ節の腫れ、関節痛、倦怠感、繰り返す肺炎、帯状疱疹などの症状や疾患を示します。感染したHIVが前記症状や疾患を引き起こしているのですが、エイズの症状と見分けがつきにくく、つい風邪や肺炎などの症状と見過ごしてしまうようです。このようにHIV感染に気づかない場合が多く、血液製剤や輸血による治療を受けたり、他人の血液に触れる、不特定多数の相手と性的接触を行うなどして、前記症状や疾患が繰り返し出て来た時は、一応HIV感染を疑い、少しでも早く医師等専門家の検査を受ける必要があります。

エイズは、以前は治療法が分からなかったため、感染すると死に直結する恐い病気と言われた時期もありました。しかし、医療技術の発達、進歩や抗HIV治療薬の開発などがあって、エイズの予防や発症を遅らせ延命を図ることが可能になっています。検査による早期発見と適切な治療を受けて薬を飲み続ければ、生き続けられる生活習慣病的な病気になっています。HIVに感染しても、エイズを発症しなければ普通の生活を送れるようになってきています。HIV感染に気づかず、明確な自覚症状もないまま、結核やカンジダ症、カリニ性肺炎などを併発して、(ようやく)エイズを発症していたことに気づいたのでは(死刑宣告を受けたと同じで)遅すぎます。

HIV感染の検査は、近くの保健所や医院などで匿名で受けることが出来ます。また、HIV感染やエイズ発症が分かった時点で、その治療をするためにエイズ拠点病院に必ず入院して治療を受ける必要もなくなっています。エイズの発症、症状の進行状況にもよりますが、その治療を自宅の近くの病院や診療所などの医療施設で行うことが可能になっています。

国内で新規のHIV感染者やエイズ発症者の数が減少に転じない原因の一つとして、若者のエイズに対する警戒心が殆どなく、危機感が希薄で、すでに感染している可能性が高い人達が進んで検査を受けないことなどが指摘されています。また、医療施設でエイズ治療を受けている女性患者の場合、付き合った異性の数が5人を超えるケースは稀で、普通に(特定あるいは少数の)異性と付き合ってHIVに感染しています。付き合う異性の数に関係なく、HIVに感染する危険性は高いと考えられます。それだけに、HIV感染やエイズ発症に対する正しい知識を持ち、自覚症状が出ていない場合でも不安なら、少しでも早く検査を受けて、早期発見して感染の拡大予防に努める必要があります。

とくに、近年、若者の性行為の低年齢化が目立ち、女子高校生の間で、性感染症(STD)の発生、増加傾向が問題になっています。性感染症に感染していると、HIVに感染する確率も数倍高くなると言われており、性感染症とHIVに同時に感染するケースも珍しくなくなっています。クラミジア症や梅毒、B型肝炎、淋病、A型肝炎、尖形コンジローマ、ヘルペス感染症、アメーバ赤痢などの性感染症に罹患した時は、同時にHIVの感染も疑ってみる必要があります。

それだけに、HIVに感染してエイズに罹患しないよう、上記したように普段から正しい知識や最新の情報を入手して、HIVに感染しないよう日常生活で注意する必要があります。HIVやエイズに高い関心を持ち、不特定多数の相手との性行為は出来るだけ控えて、コンドームを使用することが、HIV感染の予防法として、最も有効な最善の方法と思います。