昨年6月に、アスベスト(石綿)による健康被害が、新聞やテレビ等で報道され、大きな社会問題になっています。いわゆるアスベストを取り扱う工場の従業員(家族を含む)や、工場周辺の住民が、飛散したアスベストを吸い込んで(30年間という長い潜伏期間を経て )悪性中皮腫や肺がん等の病気になって、多くの人が死亡しています。
アスベストは、家庭用品(国の調査で電気製品を中心に521製品(2005年9月13日))にも利用され、その使用時にアスベストの空気中への放出、飛散が心配されています。その他、アスベストを吹き付けた建築資材やアスベストを含む製品は、学校や体育館、駅等の公共施設、一般住宅にも使われており、上記家庭用品や公共施設等を利用する人達の不安が大きくなっています。国や地方自治体も、関係企業や医療機関等と連携しながら、これ以上アスベストによる健康被害が大きくならないよう、アスベストの使用状況を再調査して、アスベストの露出・飛散の防止措置や、住民等関係者の健康診断の実施など必要な施策を推進しているようであります。
このアスベストだけでなく、私達の日常生活環境では、いろいろな健康被害をもたらす物質が多く存在しています。食中毒や感染症を引き起こす微生物(細菌、カビ、ウィルス等)や、過敏症を引き起こすホルムアルデヒド等の化学物質、アレルギー性疾患を引き起こすカビ胞子や花粉、微小昆虫(ダニ等)等多種多様です。このような物質は、私達の住環境に知らぬ間に侵入(あるいは汚染、発生)します。清掃(掃除)や換気を怠り、それらをそのまま放置すると、家の中が次第に汚れ、不潔で、非衛生的な環境になってきます。
家の中は、通常、屋根裏や物置を含め、多くの家具や調度品、生活用品等が置いてあり、室内でペット(犬・猫等)や小鳥、鑑賞魚等を飼育する家も多く見受けられます。また、日常の生活や忙しさにかまけて、衣食住に対する衛生意識も低くなり、つい家の中の清掃や片付け(廃棄を含む)、換気等がなおざりになる傾向が認められます。
このような家は、外から入ってきた物質(微生物や花粉等)を含んだ小さな塵(ちり)や埃(ほこり)、垢(あか)等が屋内に溜まり、室内に浮遊するようになります。その上、換気が不十分なため、空気も湿っぽくなり、室内にかび臭や化学物質臭(主として建材由来)が発生、充満し、ねずみや害虫(ダニ、シロアリ等)、真菌(酵母やカビ等)、細菌類の絶好の棲家にもなります。
とくに最近の化学建材を多く使用した気密性の高い住宅で、上記傾向が顕著に認められています。このような状況を放っておきますと、住宅も傷みやすく、上記害虫の繁殖で家屋の木造部分や畳等が腐朽したり、微生物劣化(主にかび類による)で天井や壁等に用いたクロスなどが剥離してきます。また、密閉した室内にカビやダニ等が繁殖し、前記異臭(ホルムアルデヒド臭等)がこもり、家の中全体が不衛生な状態になります。その結果、そこに住む人の健康が損なわれ、喘息や花粉症等のアレルギー性疾患や過敏症、中毒症の他、食中毒や感染症(人畜共通感染症を含む)にもかかりやすくなっています。
このような住宅や人に被害をもたらす有害な物質は、その大部分が目に見えない(あるいは目に見え難い)微小な物質で、人が油断した隙に家の中に入り込み、目が届きにくい場所に潜み、上記被害を起こす機会を窺っています。私の周囲を見渡しても、建てたばかりの新しい住宅が、かび等の繁殖で、3、4年も住まないうちにリフォームや大掛かりな補修をしたり、不本意な改築や転居を余儀なくされています。また、そこに住む人が、上記かび等の有害物質が原因と思われる喘息や花粉症等のアレルギー性疾患、化学物質過敏症(シックハウス症候群やシックビル症候群を含む)、感染症(ペット由来の感染症を含む)等の病気にかかって通院し、治療を受けています。最近、国内各地で、このような有害な物質による被害が、とくに多く発生しているように見受けられます。
そのため、上記有害な物質(化学物質や微生物等)による被害を受けないよう、家の中は、まめに掃除や換気を行って、カビや害虫(ダニ等)、結露、化学物質臭等の発生を防いでいく必要があります
その基本的な取り組みとして、家の中の清掃は、少なくとも週2〜3回必ず行い、その際窓や押入れを開けて換気を十分にする。また半年に1度、大掃除をして、片付け(整理・整頓)を行い、不要な物品は出来るだけ廃棄し、家の中を出来るだけすっきりさせる。
また、食中毒や感染症、アレルギー性疾患、過敏症等の発生(症状)が疑われる、あるいはその心配が生じた時は、直ちに医師の診断を受け、その指示に従います。が、このような事態が起きないよう、普段から家の中の衛生状態(健康被害の原因究明を含む)を調べ、清掃や換気の方法(条件)等を改める。さらに家族全員の健康状態にも気を配り、必要に応じて、うがいや手洗い、洗浄(除菌)、消毒が直ぐ出来るよう、市販のうがい薬や消毒薬、洗剤(洗浄除菌剤を含む)を常備しておく。これらの薬品等の有効期限や適正使用に気をつけることは言うまでもありません。
その他、
以上に指摘した点をとくに注意しながら、家の中の衣食住に関する衛生状態を、日常、定期的にチェックして、常に清潔かつ快適に保ち、上記有害物質による被害を被らず、家族全員が健康を維持しながら、毎日の生活を楽しく過ごすようにしましょう。