HOME > 感染予防教室 > Dr.ヨコヤマの専門家コラム > 第80回:『"RSウイルス感染症"が流行の兆し、1歳未満の乳幼児は要注意! その感染予防対策について』

感染予防教室

●Dr.ヨコヤマの専門家コラム

アイコンバックナンバー

第80回:『"RSウイルス感染症"が流行の兆し、1歳未満の乳幼児は要注意! その感染予防対策について』

 冬に流行のピークを迎える"RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)"が、数ヶ月早く、国内各地で多発し、流行の兆しを見せています。国立感染症研究所のIDWR(感染症発生動向調査)を見ると、発症患者の報告数が10月に40,000人を超え、調査データがある2004年以降の同時期で最多となっています。

ワクチンや抗ウイルス薬がなく、早期受診や感染予防対策(手洗いやうがいなど)の徹底を!

 RSウイルス感染症は、乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。通常、2歳までにほぼ全員が一度感染しますが、免疫が出来にくく、大人になっても再感染を繰り返します。大人や年長の子どもは、感染しても鼻かぜ程度の軽い症状で済むことが多く、その存在や恐さが意外に知られていません。

 ところが、生後6ヶ月未満の乳児や早産児、心臓や肺に持病がある乳幼児は、感染すると重症化するおそれがあります。小児医療の専門家は、「これから流行するインフルエンザより恐い病気で、感染予防と早期受診の徹底を!」と、乳幼児がいる母親や家族等に注意を呼びかけています。

くしゃみ RSウイルス感染症は、RSウイルスによって起きる呼吸器感染症です。感染(発症)者の飛沫(咳やくしゃみなど)を浴びたり、感染(発症)者の鼻水や唾液、痰などが付着した手指や物品などに接触するなどして感染します。手指や物品等に付着したウィルスは、数時間生存し、感染力が強いため、人から人に(容易に)感染が拡大します。

 RSウイルスに感染すると、2~5日の潜伏期を経て、咳や鼻水、くしゃみ、発熱など、普通の風邪と同じ症状が出ます。通常、1~2週間で軽快しますが、2歳までの乳幼児は、しばしば症状が進行し、気管支炎や細気管支炎を発症します。ひどい咳や喘鳴(ぜんめい;ぜいぜいする)、多呼吸などの症状が現れ、呼吸困難(無呼吸)や肺炎を併発して死亡することがあります。乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%は、RSウイルス感染症が原因となって起きている報告もあります。

 治療法も、今のところ特効薬(抗ウイルス薬)がなく、対症療法(水分補給や点滴、酸素吸入など)が中心となり、治療法が限定されます。乳幼児に上記症状(あるいは疑わしい症状)が認められた時は、少しでも早く医師による診察と治療を受けることが求められます。

 それだけに、RSウイルス感染症の多発(流行)時は、乳幼児に感染させないよう必要な感染予防対策の推進と徹底が求められます。感染を予防するワクチンがなく、基本的には、インフルエンザと同じ感染予防対策を行う必要があります。

 1)感染(発症)者(母親や家族、乳幼児)からの二次感染を防ぐため、手洗いやうがい、咳エチケットを励行する、2)人ごみを避ける、3)感染(発症)者が触れた場所(部位)や物品等は消毒剤(消毒用アルコールなど)で消毒(清拭など)する、4)飛沫感染を防ぐためマスクを着用する、5)咳が長く続くなど上記症状が出た時は、いち早く医師による診察と治療を受けるなどの対策が必要です。
手洗いやうがい

マイコプラズマ肺炎も多発、若い世代の感染者が急増!

 さらに今季は、マイコプラズマ肺炎も多発しています。マイコプラズマ肺炎の発症患者(報告数)が、1999年の調査開始以降の同時期で最多となっています。治療に用いる抗菌薬(マクロライド系のエリスロマイシンなど)の耐性菌が(全国的規模で)検出され、別の抗菌薬(テトラサイクリン系のミノサイクリン)を使用する治療例が増えています。

 マイコプラズマ肺炎は、RSウイルス感染症と同様、せきなどの飛沫や接触によって感染が拡大します。乳幼児から10代前半の子供だけでなく、20代以上の大人での発症が多くなっています。

 マイコプラズマ肺炎も、初期症状が風邪とよく似ています。その感染(発症)に気づかず診断や治療が遅れると、肺炎が重症化したり髄膜炎や脳炎などを併発して死亡することがあります。

 上記5つの感染予防対策を遵守、徹底して、RSウイルス感染症やマイコプラズマ肺炎の発生(拡大)を防いで下さい。

(2011.11.11)

サラヤ株式会社 お問い合わせ みんなの手洗いサイト て・て・て 手洗いのサラヤ