第59回:『高齢者入所施設で洗剤の誤飲による死亡事故が発生、消毒薬など化学薬品類の安全管理も忘れずに!』
2月に入り、豚由来の新型インフルエンザ(A/H1N1)の感染(受診)患者が減少し、その流行が沈静化する傾向が見受けられます。その一方で、ノロウィルスによる感染性胃腸炎が流行し、高齢者入所施設でも集団感染が発生しています。今季は、新型インフルエンザ対策の効果があって、ノロウィルスによる感染性胃腸炎の発生件数(国への報告数)が(昨季より)少なく、感染死者も多く出ていないようです。
さらに、季節性インフルエンザ(Aソ連型やA香港型、B型など)も、その発生(流行)の兆しが一向に認められません。これから先、インフルエンザ(新型、季節性)の発生(流行)が、どうなるかについて、専門家の意見も分かれています。いずれにせよ、これらの感染症に罹患しないよう、ここ数カ月、その発生(流行)に十分に注意して、必要な感染予防対策を推進、徹底する必要があります。
インフルエンザやノロウィルス感染症等の発生(流行)時は、基本的な感染予防対策として、手洗いやうがいの励行と、消毒や除菌、洗浄の徹底を中心とした衛生管理が取り組まれ、消毒薬やうがい薬、洗浄(除菌)剤、洗剤などの化学薬品類が使用されます。
高齢者入所施設でも、上記化学薬品類が、感染症(食中毒を含む)の発生や感染拡大を防ぐだけでなく、日常の施設環境の浄化や衛生保持に大きく役立っています。
昨年5月以降の新型インフルエンザの発生(流行)時も、消毒薬(アルコール製剤など)や除菌剤、うがい薬などが繁用され、その効果があってか、今季の感染性胃腸炎や食中毒などの発生件数が(昨季に比べ)減少しています。
施設では、職員が消毒薬など化学薬品を有効かつ適正に使用しながら、必要な衛生管理を行って、施設内感染(集団感染)の発生を防ぐ努力をしていると思います。
その一方で、化学薬品が原因となった事故が発生しています。昨年の12月に、大阪府と新潟県の特別養護老人ホームで、洗剤や消毒薬の誤飲による事故が起きています。前者の事故内容を紹介すると、入所者の女性(82歳)が、誤って洗剤(液体、食器用)を飲んだ後、肺炎で死亡しました。この女性は、要介護度3で認知症を患っていたようです。誤飲した洗剤は、洗面台上部の戸棚に入っており、鍵はついていませんでした。このような薬害事故は、2000年にも発生しており、大阪府下の特別養護老人ホームで、入所者が殺虫剤を誤飲して死亡しています。
上記洗剤や殺虫剤、消毒薬など化学薬品類による健康被害(誤飲による死亡や付着による皮膚炎など)は、施設内感染に比べ、その発生件数は少ないですが、認知症の高齢者が入所していない介護施設でも発生しています。
施設で、消毒薬などの化学薬品類を使用する時は、「毒物及び劇物取締法」や「消防法」に抵触しない方法で、安全確保と適正使用を最優先して、下記6点の注意事項を遵守して、加齢で判断力や運動の機能が低下した高齢の入所者が薬害事故に遭わないよう、十分に気をつけて下さい。
消毒剤等化学薬品による健康被害は、その殆どが介護業務に忙殺された施設職員の不注意やミス(錯誤や間違い)などによって発生しています。上記6点で何らかの問題(不備)があり、それに職員の不注意やミスが加わって発生しています。
このような人への薬害事故の発生を防ぐため、上記6.に記すマニュアルを自主作成して、その実施体制の整備、確立を行っておくと大変便利です。化学薬品類による健康被害が発生した時も、応急措置が迅速に行え、かつ化学薬品メーカーや関係機関、関係者等への連絡がスムーズに行うことが出来ます。
以上、施設内感染だけでなく、上記した薬害事故が、施設から発生しないよう、十分に注意して下さい。
(2010.2.17)