第65回:『食中毒や感染性胃腸炎が多発、昨季に比べ急増、手洗いの励行や消毒(除菌)の徹底を!』
今季は、6月頃から食中毒や感染症が、昨季に比べ、一般家庭や飲食店、保育施設等で多発しています。とくに腸管出血性大腸菌やカンピロバクター、ウェルシュ菌などの細菌による食中毒や感染性胃腸炎の発症患者が(7月から)多く出て、昨季より早く、食中毒警報を発令する地方自治体が相次いでいます。
食中毒や感染性胃腸炎は、高齢者入所施設でも発生しています。秋田県や群馬県、長野県の老人介護施設で、腸管出血性大腸菌やウェルシュ菌による集団感染が発生しています。今のところ、死者は出ていませんが、安心は出来ません。
この他、“夏風邪”とも称されるヘルパンギーナや手足口病などのウィルス性疾患が、乳幼児や小学生(低学年)の間で多発し、この時期の発症患者数が過去5年間で最多となっています。
今季、食中毒や感染症が(昨季より)多発する原因の一つとして、家庭や施設などで取り組まれる衛生管理や衛生慣行の不徹底が指摘されます。
昨季は、この時期に新型インフルエンザの流行があり、どの家庭や施設でも、手洗いやうがいが励行され、アルコール製剤の使用を中心とした消毒が徹底されました。その効果があってか、食中毒や感染症の発生も減少しました(筆者のコラム第56回参照)。
しかし、今季は、3月に新型インフルエンザの流行が終息し、喉元過ぎれば・・・・で、アルコール製剤を用いる家庭や施設が少なくなり、流水あるいは石けんを用いる手洗いも、時間をかけず、手を抜く人が多くなっています。次第に緊張感が薄れ、衛生意識が低下し、手洗いやうがいなどの衛生慣行が励行、徹底されず、なおざりになっているように見受けられます。「今季も、食中毒や感染症は、昨季と同様、発生しないだろう・・・」と、安易に判断し、油断して、手洗いやうがいの回数が減ったり、その方法がいい加減になって、食中毒や感染症の多発(増加)を招いていると筆者は思っています。
これから先、高温多湿な、暑い日々が続き、上記食中毒や感染症が、ノロウィルス感染を含め、今以上に、多く発生する恐れがあります。乳幼児や高齢者の集まる施設では、十分に注意する必要があります。
このような食中毒や感染症にかからないよう、福祉介護施設でも、以下に記す感染予防対策について、自施設の取り組み状況を再点検し、問題点があれば、改善して下さい。
また、上記8つの取り組みに加え、食中毒や感染症の発生に、少しでも早く気づくよう、普段から、入所者や職員の日常の生活や健康状態にも十分に気を配る必要があります。室内の温度や湿度の管理(換気を含む)をして、快適な環境を保つことは、熱中症対策にもなります。
施設の入所者や職員に、発熱や腹痛、下痢(水のような便)、嘔吐が止まらないなどの症状が認められる時は、隔離して、出来るだけ早く専門医による診察と治療を受けたほうが無難です。
健康管理や衛生管理、衛生慣行、環境衛生に心がけて食中毒や感染症の予防に努め、施設内感染の発生(拡大)を防いで下さい。
(2010.8.26)