●食中毒関連情報
第3回:『SRSV食中毒』
大阪市立環境科学研究所 研究主幹 石井 営次
1.SRSVとは
SRSVはSmall Round Structured Virusの略で、小型球型ウイルスといいます。ノルウォークウイルス(NV)とも呼ばれ、このウイルスによる食中毒は2001年の食中毒統計で269件、患者は7,358名で、患者数では最も多く発生しました。潜伏時間は24〜48時間で、嘔気、嘔吐、下痢などの症状を起こし、熱が出ることもあります。2〜3日後には回復し、予後も良好といわれています。一方では、冬期に小児や小学生などに感染症としての流行もあります。
2.SRSV食中毒の発生原因は
SRSV食中毒の原因は、汚染された2枚貝の喫食による場合と感染者や患者から二次汚染した食品による場合が考えられています。
- 汚染食品の喫食:カキやアサリなどの二枚貝はSRSVを持っているものがあり、特に生食される機会の多いカキにより多く発生していることが報告されています。また、それらの貝の調理で加熱不足が原因にもなっています。カキの場合、患者などの糞便から排泄されたSRSVが、最終的に海水に流れ込み、それらをカキは大量に吸い込み消化管内でウイルスを濃縮するといわれています。
- 感染者からの汚染:過去発生した餅つき大会での食中毒のように、食中毒症状がなく健康な状態でSRSVに感染しているヒトが手指を介して食品を汚染させたため、食中毒が発生したとみられる場合があります。また、SRSV患者の吐物などの処理で手指などが汚染された介護者が調理に携わったり、あるいは吐物が飛散して最終的に食品を汚染したと考えられる原因もありました。いずれも、調理に際し手洗いなどが不十分と考えられています。
3.SRSV食中毒予防は
- 汚染食品の喫食:生カキの喫食を避けることとカキなどの調理では加熱を十分行うことを各地の衛生研究所のホームページなどで呼びかけています。大量に市場にでている生食用カキの一部ですが、実際に食中毒が発生しています。また、どうしても生食を望む場合、リスクの高い内臓を除去することを勧めています。加熱の場合は中心部が70〜80℃になればウイルスは不活化されるといわれています。
- 感染者からの汚染:一般的な食中毒予防のための衛生対策で十分です。例えば、食品を扱う場合、手洗いや調理器具の洗浄・消毒を行い、マスクや手袋を使用することです。また、調理者は健康状態に気をつけることで、健康の優れない場合は調理を控える必要があります。
■プロフィール
石井 営次(大阪府出身)
大阪市立環境科学研究所 研究主幹
【略歴】
- 昭和48年3月
- 京都府立大学大学院終了(農芸化学、発酵生理学)
- 4月
- 大阪市立衛生研究所(現環境科学研究所)勤務 衛生工学課
- 昭和53年4月
- 大阪市立環境科学研究所 微生物課(現微生物保健課)
- 昭和59年3月
- 大阪市立大学医学部 医学博士